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下らなくも愛しい日常
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腕に装着した義手と剣を外すと、とたんに体が薄くすけるような浮遊感にさいなまれる。

「つっ・・・」
スクアーロは喉と体の痛み、そして表現仕様のない離人感にを覚えて目を覚ました。
一瞬自分がどこにいて何をしていたのかわからなくなる。
とっさに身を起こそうと体を動かすと、何者かの腕に邪魔される。
腕の主を確かめて、やっと自分が何をして、どうしてこうなっているのか思い出した。
昨日、仕事を終え、報告した後、ザンザスに無理やりベッドに連れ込まれてやりたい放題された。
スクアーロが仕事で義手を破損したことを嘲笑い、カスだのクズだの一通り罵った後、とたんに不機嫌になり仕置きだと言わんばかりにいつもよりしつこくスクアーロの体を嬲った。
途中まで意識があったが後半は曖昧になっているところをみると途中で意識を失ったらしい。
だが、スクアーロの体に汚れはなく、体の奥にまだ何とも言えない違和感があるものの、ざっと拭われている。
いくら落ちたと言っても、他の人間が近づけば自分が起きないはずがない。それを考えるとどうやらザンザスが後始末をしてくれたらしい。
どんな顔してやってるんだぁ・・・
想像がつかずに顔をしかめる。もしくはいつもの不機嫌そうな顔でやっているのだろうか?そう思うとおかしくなる。
思わずもれた笑いに体を震わせると、とたんに鈍痛が体に響く。
「く・・・」
にやけ顔と苦痛がないまぜになった妙な顔になりながら、体に響かないようにそっと力を抜いた。
とたんに体がベッドにのめりこみ、そのまま起き上がれないのではないかと思う程の重力と、自分自身が塗りつぶされるような夜の闇に覆い隠される。
銀色の目を見開き、とっさに自分をかばうようにいつもは義手と剣をつけている左手を引き寄せた。
しかし、仕事で破損した義手は取り外され、腕は手首から先のない丸いフォルムが頼りなく動くだけだった。
ヒュ・・・
っと息をのみ、とたんに先ほど目を覚ました時と同じような離人感に襲われる。
その、曖昧な感覚に思わず体に力を入れると、鈍痛がまた貫いてくる。
同時にその痛みを与えた男の存在と体温を感じる。
ああ、これは自分の体だ。
いつも抱えている義手と剣、そしてそれにしみ込んだ血の重みの代わりに、スクアーロは自分に与えられた痛みと、その痛みを与え、常に支配してくる男の存在を抱えて、自分の形を理解した。

何もないままでは生きていけない
何も抱えないままではもう形を維持できない。
溶けださないように、飲み込まれないように、
体中に縛り付けるための鎖を
血肉に代わる痛みを
与えてくれる存在を誰よりも欲していた。
 

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